駅探訪 街探訪

主に東京メトロの駅を中心に駅と周辺の街を探訪します。コンプリートしたらまた考えます笑

本の紹介 自薦theどんでん返し(後編)(本の回)

こんばんは。penguin911です。

 

いやぁ、ありがたいことに着々とこのブログにアクセスしてくださる方も増えてまいりまして、、嬉しく思っております。

 

で、どんな方が来て下さるんだろう?と思いまして、このブログの解析機能のようなものを使ってみたところ、、

乾くるみさん関連のブログとして、遊びに来て下さる方が多いんだなと分かりました。

ありがとうございます。

 

でも、私の推し作家はあくまでも貫井徳郎なので、貫井徳郎で遊びに来ていただけるように頑張ってまいります!(笑)

 

では、昨日の続きに参りましょう!

今日もこの本の話です。。

 

 

4.西澤保彦 「アリバイ・ジ・アンビバレンス」(「パズラー 謎と論理のエンターテイメント」に収録)

どんでん返しという観点で見ると愚作です。

昨日の「書く機械」と同程度の「どんでん返し性」(そんなのあるのか?(笑))ですが、「書く機械」の方が読みやすいので一枚上手だと思います。

高校で起きたある男子生徒の殺害事件を「私」と同級生の学級委員長が探偵役に回り、事件を解決する、学園ミステリです。

その事件に関して、ある女子生徒が自首をしますが、その女子生徒のアリバイの証人が「私」でした。そのことから「私」は、

「女子生徒が自首をしたのは真犯人をかばっているからだ」

と考えますが、真の目的は別にあり・・・。

中身は悪くないのですが、、

「・・・どこがどんでん返し?よくあるパターンじゃん。」

と思ってしまいました。。

 

パズラー 謎と論理のエンタテインメント (集英社文庫)

パズラー 謎と論理のエンタテインメント (集英社文庫)

 

 

 

5.貫井徳郎 「蝶番の問題」(「気分は名探偵 犯人当てアンソロジー」に収録)

どんでん返しという観点で見ると傑作です。

満を持して登場ですね、貫井徳郎

ただ、この頃はまだ彼の存在を知らず、この作品で初めて貫井徳郎に出会ったので、ジャッジ自体は公平なジャッジを下していると思います。ご安心を(笑)。

作品は高名な小説家と学生時代の後輩である捜査一課の刑事が登場する推理小説です。

捜査一課の刑事は、頭は切れるが少し横柄なところもある先輩の小説家のもとに、ある事件の手記を持っていきます。

この手記の中では、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のごとく、5人の劇団員が次々に死んでいくのですが、先輩は巧な推理によって犯人を突き止めます。そして、別にいた「真犯人」にもたどり着きます。

この小説は元々懸賞問題のように作られているようで、前半の「出題編」と後半の「解決編」で分かれていますが、読者に犯人を当てさせる類の小説としては最難関です。

ただ、推理に必要なヒントは種明かし前にすべてそろっているので、

「ヒントがないから憶測の域を出られない」

ということがない作品です。

あとは、キャラクターも個性的で好きですし、何よりも、こんなにすごい作品なのに、それを感じさせない、あっさりとした終わり方にも好感が持てます。

これは、読書好きの方には是非読んでいただきたい作品です。

 

 

6.法月綸太郎 「カニバリズム小論」(「法月綸太郎の冒険」に収録)

どんでん返しという観点で見ると、まずまずです。

これは、内容をうんぬん説明するよりも、作品の概形というか構成をお話しした方がいい気がします。

まず、犯人の布石は冒頭でしっかりと打たれています。これはいい点です。

で、問題の中身ですが、、

とにかく理屈っぽい!

この小説は「カニバリズム」(カーニバルの語源ですね)という、「食人習慣」をテーマに掲げているんですが、とにかく、それについての蘊蓄が長いし理屈っぽい。

で、頑張って読んでも、結局我々が楽しみたいミステリの部分にはあまり関わりがないという。。。

なんていうんですかね。ほら、理系の人が小難しい理論を小難しい言葉で長々と記す、自己満足の塊みたいな文章(おっと、失礼しました(笑))、あるでしょ?

あんな感じです。

だから、そういう理系の文章を読みなれている人はそんなに苦も無く読めるんですが、そうではない人にとっては結構苦痛かもしれません。。

(実際、母は退屈して寝てしまったため、この話だけ読了できていないらしいです汗)

 

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

 

 

 

7.東川篤哉 「藤枝亭の完全なる密室」(「はやく名探偵になりたい」に収録)

どんでん返しという観点で見ると、傑作です。

推理小説というよりは、物語小説です。根幹は、しっかりとした論理で構築されていて、読み応えは申し分ないです。

ある大資産家の甥である人物が叔父の遺産目当てで犯行に及びます。完璧な密室を用意しましたが、そこに居合わせた探偵によって暴かれてしまいます。

しかし、探偵が犯人を暴いたのは、密室の謎を解いたからではなく・・・。

この作品は終わり方が好きです。甥が探偵に「密室の謎は解けたのか?」と問う。

すると探偵は「そんなもの、どうにかうまい方法があったのではないか。」と答える。

なんかおしゃれな言い回しですよね(笑)。

 

はやく名探偵になりたい (光文社文庫)

はやく名探偵になりたい (光文社文庫)

 

 

それにしても、腑に落ちないのが一点。

甥は叔父の弁護士を務める女性にそそのかされて犯行に及ぶのですが、そこに「たまたま」探偵が居合わせました。

果たして本当に「たまたま」なのでしょうか・・・?